僕の左手/チャオ
 
てない。
僕の左手は、決意をするとき何もしてない
僕の左手は、ひらめきに対しても何もしてない

ゾラがいなければ、サリンジャーの文学はなかった。ゾラが「居酒屋」を描かなければサリンジャーの繊細な描写もなかったはずだ。が、サリンジャーがゾラを読み、どれほど影響を受けたかは知らない。ましてや、僕は、ゾラを読む気もない。それでも、サリンジャーは、自然描写が繊細だし、僕は自然主義みたいな小説を書く

アランシリトーがはじめて読んだ本は「嵐が丘」だった。彼はそれを読み、感動し、読書をし始め、次第に自分も書くようになった。が、僕は、「嵐が丘」を読んだことないし、読もうとも思っていない。それでも僕は
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