船乗りのいない朝/
瑠王
船乗りのいない朝は 突然やってくる
脳が白い朝焼けに揺れる
瞼から忍び込んで 水平線を引く
船腹をなめる波が 意を鎮めて誘(いざな)う
船体の軋む音が 孤絶した海を助長する
霧は生きた煙のように 船尾で割れて行列をなす
もう帰れないのだろう と思ったかもしれない
極点の大海に身を委ねて
時を喰うような眠りを繰り返し 繰り返し
胸底の岸へと やがて流れ着く
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