希望とか夢とか自分とか/蓮沼 栞
 

15年前の小さな僕は、首に巻いたテーブルクロスをマントと言い張っていた。
わざとなびかす様に腕を広げ、飛行機でもないのに「きーん」と声を上げ、マンションの駐車場をよく走り回った記憶がある。自分がヒーローになる事を夢見ていたあの頃は、大人になれば空も飛べると思っていた。
弾丸を跳ね返す鋼の体、岩をも砕く強靭な筋肉。護るべきものを知らないで、護るとはどう言う事かも知らないで、ただ護る事が格好いいと信じ、大人になる事を夢見ていた。


5年前の僕は、バイトして買った10万する一眼レフカメラをジェニファーと呼んでいた。
どこかのタレントの真似をして、自分で編んだ麻紐をカメラに結びつけ、耳障
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