返信/亀井 花名
書いてある内容よりも君の手がやさしく見えて繰り返し読む
今日もまたいつものようないちにちが暮れ 書く程の知らせはないよ
「大丈夫。相変わらずで、元気だよ。」きれいな嘘が並ぶ返信
「笑ったり歌ったりして過ごす日々。たまには君を思い出したり。」
本音ならナミダの墨で書いてある 炙り出すなら月の光で
指先で乾いて見えなくなった字を撫でるでこぼこくすぐったいの
そらいろのてがみに書けぬせつなさも君に触れられ浮き出るだろう
もどかしいこの時差を越え今すぐに会いに行きたいそれだけである
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