指とまなざし/
木立 悟
滴の音がすぎ
黒い線が立ちつくす
のばした指と 葉の間の無が
空になり 空のきれはしになってゆく
終わりはじめる朝の片すみ
うたう気もなく置かれたうた
喧騒は干き
静かな静かな喧騒に満ちる
緑を呑むたびふるえがあり
花がひとつどこからか来る
まなざしの上に下に咲き
行方の行方を指し示す
葉が消え 指が消え
でもそこにあるのです
ただ葉と指を
描きつづけているのです
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