もうひとりのぼくが囁く/殿岡秀秋
 
ぼくは小学校にはいるまで
母の隣に寝ていた
母が小料理屋を始めて
夜遅くまで帰ってこなくなった
ぼくらの面倒をみるためにきた叔父が
押入れにあがって布団を被った
ぼくも隣にはいる
ぼくは押入れ中の
ふすまに近い方に寝ることにした

寝る前の習慣として
トイレに行く
戻ってきて
押入れにあがる

布団をかぶってしばらくすると
なんだか出きれていない感じがする
それで押入れからおりて
再びトイレに向う

兄たちが畳の上に布団を敷いて寝ている
ぼくはふすまをあけて
廊下に出る

廊下の突き当たりにトイレがあって
明かりをつける
しかし出はしない


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