彷徨いの月/蓮沼 栞
いつも、月の中を巡っていた。
夜になると、いつだつて空に浮かぶ黄色い星。暗闇の中で一番明るくて眩しい星の中を、グルグルと彷徨っている。
月の中を想像した事ある?
表面は灰色のクレーター。規則性の無いでこぼこに覆われた月の地下50メートルには、巨大な空間があるんだ。
真っ白な世界。
辺り一面眩しいくらいの純白で長方形の大きな塔、シルクの様に滑らかな壁面も真っ白に光り輝いていた。
光源も見当たらないのに何故か明るくて、そこにいると、昼だか夜だか、時間が曖昧になる。
時計の針を見てると、不思議。とてつもなく速く進んだと思ったら、進んでるのか分からなくなるくらいゆっくり進んだり、たまに逆に進んだりする。
この世界で僕は独りぼっちらしい。誰も声をかけてくれない。記憶の旅を巡り、目を覚まし、見渡してみて、独りを確認する。
月を巡る。
繰り返す…何度も…
何度も。
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