脆い自分に向けた精神的跳躍のための/熊野とろろ
頭をかかえることが日に日に増えていく
信じることはやめないけれど
今日もたくさんの不安が降り注ぐ
本当のことを言おう
閉塞感やどうにもならない苛立ちってのは
思春期に限ったことだと思っていた
思い悩んだ時期
曇った空は必ずいつか晴れるだろうと
僕は楽観していたのかもしれない
近頃は街に出ると
交差点で横断歩道を渡る人々の
さまざまな顔を見てしまう
当たり前のように誰ひとり似た者はいない
僕のように世の中に絶望しているやつが
この街にもきっといるはずなのにな
誰かがこんなことを言っていた
知るということは知らないことが増えること
確かにそうだ
だけど本当に知れば知るほど
我々は幸福になっていくのだろうか
僕はどうも日ごと新しいものを知るたび
世界からどんどん孤立していく気がしている
大げさかもしれないけれど
大げさこそリアルである時代が僕に訪れている
絶望も希望もごちゃ混ぜで良い
混沌と倒錯の時代を
誰よりも美しく生きよう
いつかあなたに必ず会えるから
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