夕刻地平線 紙の切り傷/
瑠王
夕刻地平線 紙の切り傷
鼓動にあふれた静寂がふたつ
痛みをともなうのは
前世からの記憶のひとひら
秘めた焦燥は赤色に駆られて 涙をおとす
はりつく体温と
しお、鉄の味
波がひかる風に絡まり
私だけが煌めかない
柑橘の中に点となる
夕刻地平線 紙の切り傷
宇宙でできていて
瞳の奥に封をする
頭蓋の抱擁 小宇宙
切り傷時間に癒されて やがて夕刻
海に消ゆ
戻る
編
削
Point
(5)