夕刻地平線 紙の切り傷/瑠王
 
夕刻地平線 紙の切り傷

鼓動にあふれた静寂がふたつ

痛みをともなうのは
前世からの記憶のひとひら

秘めた焦燥は赤色に駆られて 涙をおとす

はりつく体温と
しお、鉄の味

波がひかる風に絡まり
私だけが煌めかない
柑橘の中に点となる

夕刻地平線 紙の切り傷

宇宙でできていて
瞳の奥に封をする
頭蓋の抱擁 小宇宙

切り傷時間に癒されて やがて夕刻

海に消ゆ



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