うつくしい世界/霜天
僕らはどこでも眠れる
可能性の、結果として
拘りを隠しましょうか、誇りを仕舞いましょうか
まっすぐな道をまっすぐ歩くためだけの
呼吸、でしょうか
道は裏返りながら繰り返されて
それでも国道十六号線はいつも混んでいて
連なる車列の、挟まれた真ん中に
取り残された僕らの息遣いは
笑ってしまうほどの、歩調で
静かに寄せる明日のために
ただ、歩数を刻み続ける
拘らなければ、どこでも眠れる
誇りを仕舞えば、いつでも眠れる
窓の外の明かりが、なんとなくわかる部屋で
言葉の端だけが、誘うように残されていた
いつからか始まりどこかへと消えていく数式のような
その時だけ
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