血飛沫(稚拙に書きつけられた譜面のような肉体の中の豪雨)/ホロウ・シカエルボク
 








そのとき舌先を耐えがたい感触が駆け抜けて行っただろう、瞳孔を麻痺させるような緩慢とした動き、意識下にかしずいた不確かな感触、絶対的でないがために徹底的に堆積してゆく―崩落にも似た猛烈な揺らぎ、光線は薄く不適当なまま行先を探し…そこじゃないんだとお前は悲鳴を上げる、確かに何かを口にしたはずなのにうまく発音出来なかった、消え去ってゆく一瞬の核心、お前は自分で何者であったのかすら判らなくなりかける…忘れかける、忘却、忘却だ、移動する思想の反動だ、お前は判らなくなりかける、だけど結局もとのところまで針が戻ってくる、そのことはお前にとって果して幸福な出来事なのだろうか?俺には
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