おなじ色を見ている/鈴木まみどり
河の果てのほうは
何色だったと思います?
きっと黒ですね
沈黙は黒ですから
ふふん、鼻で息して、
目をつむって、
上唇を一回舐めて、
黒でも白でもありません
しかしながら
黒でもあり、
白でもありました
なにごとも吸いこんでいく黒と、
スパークする白です
眼鏡をかちゃりと掛け直した
いいなあ
今度は一緒にどうですか
本当ですか
行きましょう行きましょう
庭先にくるくるんと咲いた朝顔が
笑っている
花弁を指で擦って、
紫でしょうか
残念、
赤紫です
紫でしょう
あか、紫です
笑いながらむきになる
ホースの先をつぶすと、
ほとばしる水しぶきに虹が光ったので、
つかまえましょう
と
ふたり
躍起になった
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