七月/kaeru
 
青すぎる空が 濃淡もなく
(雲切れひとつあるでもなく)
ただのっぺりと広がっている夏の朝

プラタナスの巨大な葉が繁る
街路樹の陰はしかし小さく(陽が高い)
今はもう打ち水のない広い舗道を延々と

ぼくらは歩いていく 俯向きながら
小さな葉陰を飛び飛びに渡るひとのよう
巨大なビルが斜めに聳える山岳地帯を

ぼくらは歩いていく おはようと
ご機嫌ようと交わすごと(きみたちと)
見上げる夏の葉 空に伸ばす翠の手のひら

ぽっかりと空いた交差点の上の空に
画鋲のように止まって動かない鳥の影
今日の迷路を巡り始めるぼくらを眺めて

戻る   Point(2)