空の名前/エズミ
台風一過、朝寝坊をひっぱって、眠りの水面から浮上、ざばっと目蓋を開いたら、
窓には洗いたての青空一枚(梢のふしゃふしゃした陰影と、ひとひらの雲も泡立てたばっかり、といったところを添えて)光って遠くにいる。
未来も過去も同じ輪郭で鏡の向こう面に、ほんのちょっとだけぶれて映っているのを見たような、涼しいところにいつの間にか辿りついて一人で立って、背中がすうすうするような、はてしない気持ちになって、この空の色を言い当てたくて手探りして指先にひっかかりそうで、ひっかからず。
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