紫陽花の花に/……とある蛙
朝は晴れ晴れと
色とりどりのアヤメの中歩く
季節六月、紫陽花の花
朝は晴れ晴れと
君を見てアヤメの中歩く
季節六月、紫陽花の花
言葉を交わす余裕なく
六月晴れ渡る梅雨入り前
紫陽花の花に昔を思う
坂の途中 川島医院の石階段
門柱横 薄青色の紫陽花の花
いつも雨の中に紫陽花の花
今日は夏の陽差しの中
紫陽花の花が咲き
紫陽花の花に昔を思う
家の周りの夕暮れに
紫陽花はなく
思い出だけが
薄明かりの中 浮かび上がるが
泣くな
泣くなという母の声が
遠く 聞こえる
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