渦/tutty
 
ずいぶん長い間息をしていなかった様だ

瓦礫の下や珊瑚の枝に挟まった空気も見つからず、その日は仕方なしに大きく口を開けた

ゴボッと音がしてくらげみたいな泡がゆらゆら上っていった

無感動に泡を見送って、薄暗い気持ちが胸を浸水してくるといつも死を思った

好きでも嫌いでもない女とするセックスみたいだ

あの日僕は渦の中心にいた
回転しながら乱反射する水平線はこの世の全てが輝いてるかに見えた


僕もたまには街に帰って、海の底の珍しい石や植物を交換する

とうとう僕も石売りになってしまったな

ちゃぷちゃぷと潜りながらクレーン車がごうごうと海をかき混ぜるのを見た
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