梅雨明けのひかり/吉岡ペペロ
 
建物と人が

梅雨明けのひかりを

跳ね返しては吸っていた

夏が影を濃くしてゆく

命の闇と宇宙の静けさを

反語のように振りかざして

風が首を撫でている

夏服の透き間にそれが入り込む

無意識は

顕在意識からの呪文に満たされてゆく

大切なひととの別れ方は漠としていて

建物と人が

梅雨明けのひかりを

跳ね返しては吸っていた
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