生きている/生田
 
彼は漫然と嘘をつき続けた典型であり、その嘘に振り回された村人たちは、嘘に目を取られ、漫然と相対した典型である。

 私は嘘つきです。という一文になんともいえない感情を抱く。それが本当でも、嘘でも、嘘つきなのだ。

 今度、同人誌を作ることになった。人選に苦慮している。一時の徒花ではなく、次に繋げるものにしようと思えば、相手に求めるものも必然と重くなる。人が物を書き続ける理由は様々である。私のように嘘をつきつづけるように物を書きつづける人ばかりではない。しかし、私は嘘をつくという術しか知らないので、それをもって向き合うしかないのである。本音の方がどれだけ楽であろうかと思う。しかし、私は私の本音を信じない。自分の意思で選んだ嘘が私の作品であり、言葉である。
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