「季節と背中」/菊尾
 
間だっただけ
季節と背中を残して
どこか知らない場所へ足音だけを響かせた


それから散々考えて見つけた場所には
忘れてたけど懐かしい花が咲いていた
姿かたち
いつまでも変わらないままの花
散って咲いて繰り返すそれだけの花

きっとそれは単純なこと
復元の仕方は些細なことだったんだ
色褪せた花に色が戻されて行く
結論づけていた理由が溶けて行く
頬が和らいで
残響していた声が小さくなって消えた

常に備わっていて取り巻いている粒子状の空間の中で
壊れた記憶が復元され再生され始めた
エンドロールの後、
続いていた長い闇が終わり、背中はもう見えない
過去への弔いは今遂げられたんだ

いつもみたいだと言われて
いつもを思い出した
これからが増えて行くから
それからに別れを告げた
これからしか無い僕に
それからの君はもう
要らないのだから

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