誰が豚かを決めるのは俺だ(2)/花形新次
うと、薄々行けないんじゃないかなって気はしていたの。
だって、彼、北朝鮮がどこにあるのか知らなかったから。
実際、その日上野駅から夜行に乗って、東北方面に向おうとしている彼を見かけた
人がいるのよ。きっと岩手と青森の間ぐらいに考えてたんじゃないかしら…。
それで、恥ずかしさのあまり、その足でアメリカのカリフォルニアまで
高飛びしたのよね。
うん、でもそのことを知ったのはずっと後。
一通の手紙が届いたの、彼から。私のことを今も愛している、いずれ日本に帰るから、
そのとき俺と一緒になってくれ、って内容だった。所謂プロポーズってやつね。
私は直ぐに返信したわ。たった一行「お断りいたし
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