図書館物語/たもつ
棒の夢の中に図書館が泣いて出てくるので、泥棒は本を返しに再び図書館に忍び込んだが、昆虫図鑑十冊のスペースのところだけ本が並べられず、受付カウンターに「世界美術史体系全十巻」を平積みして置いて帰った。
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朝、カウンターの上に置かれた「世界美術史体系全十巻」を見つけた司書は、淡々とそれらをもとの位置に並べ、十冊の昆虫図鑑を淡々と館長の机の上に平積みして置いた。
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図書館を走り回る子供のポケットから湿気たネズミ花火がこぼれ落ちて、夏は小さくてもいつか願いのように終わる。
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図書館の一階フロア南西角はタイル一枚分が海になっていて、そこだけ「遊泳禁止」の看板が立っている。
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