視覚/黒川排除 (oldsoup)
 
この穴 湿気漂う稚拙なおんぼろ小屋の内部から
新鮮な外側へ開けた三角の穴だ、覚えているかい。
良く見えもしないから 語るべくもない 遠くの景色、
浮かんで消える情景に 重ねて消した 幼き夢を。

思いを馳せて 見ろ、まじまじと。そこに在るのは 空だ。
そうして神だ。流れる雲はその息吹、虚ろ献ずる天使共
在るべき顔の凍り付く その御姿に死に絶える泥が
泡を吹く愚を 見ているだろうか、友よ、同性の愛人よ、

どうして眠ってばかりいるのか──それを誰に示せば。
助けを請えば救うのか 既に暗さは腑に落ちた。
この穴は逸らす目を受け入れたのだ。三角で明確で、
何一つ嘘など付かず 生命の影を絢爛と縁取りながら、

浮かばれぬ苦を誇張して広げ、美を歌わせて嘲笑い、
あらゆる狂気を身に忍ばせて いざ 歩かんと手を引いた
面影よ、親に似る穴、透視の先駆よ、教えて下さい。
どうして眠ってばかりいるのか──それは既に俺なのか。
戻る   Point(0)