迷宮組曲/第1楽章/夜明け/遊佐
 

 *
抽象をなぞる指先が、無色透明な肌に存在だけを記して
昨日の空に溶けて行く、輪廻を正しく辿って行けば
全ての人の記憶は一つになると
ついさっき、知りました。
だから、君の香りはどこか懐かしいのだと

 *
夜の闇の中に、
銀河を渡り損ねた星達が、規則正しく連なり消えて行くのは
艶やかに流れる者を見送る為なのではないかと、貴方を見て
ふと、そう思う今日この頃に
愚かな自分の生き方の中にも拾うべき物は在るのだと、
嬉しくもあり
虚しくもあり
泣き笑いしています。

 *
夜を啄む嘴の尖端には朱に染まった満月が僅かに顔を覗かせていたってことも
名も無い小さな星の陰で密やかに呼吸していた者も居たと

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