人類は繁殖し続ける/こめ
 
それぞれの速さで歩む人の群れ

その何割が自分の速さでであるいていて

その何割が他人の速さに合わせているのだろうか

僕が生きている内にすれちがった人は

世界のの人口の大体何%かなと

途方もないことを考えていた

やつれぎみの自分自身に

睡眠薬を飲ませ落ち着かせる

この世の黒幕は誰なのかと

考えて顔を向けるのは

明日の方向

僅かに薫まろやかな

女性の花の蜜の匂いをかぎつけ

今日も馬鹿な男たちは女の尻ばかりを

追い掛けていた

くだらないそれは憐れ以上の何にでもなかった

しかしそのお陰で人類は繁殖し続ける

皮肉なものだと嘆くけれど

それが仮面を脱いだ素顔ならば

どうしようもないだろう

満員の電車の中で

息苦しい空間だと改めて思って

僕はまたため息をつく

速く変わらないかと願うけど

いつもいつまでも変わることのない

光を向けるのは太陽だけだった


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