さとの祭り/丘野 こ鳩
 
いけれど愛敬のある婚約者のとなりで
今度の会社は給料が十万もあがるとほこらしげだった
兄はわけのわからないものごとに、付き合ったり、折り合いをつけたりしながら
まっとうに忍耐し努力し
自分をひきあげた

 まともな人間が、いいよ
 まともであることが
 一番たいせつだよ
 そのための書籍
 そのための食べ物
 そのための偉人たち
 そのための悪意
 そのための骨組み

あの変わった妹みたいになるなよといわれた
あんなのにならないでよと母がいった
妹は苦笑いを浮かべてご馳走を片付ける
 
 
  オームがもんしろちょうをまともにはねとばしたとき 
 金色の野に
 しにぞこないが降りたつ
 なんだかちまみれですね
 ええ 私のじゃないから
 死にゃあしないけど

私のじゃないから
まだなにもわからない
空の食器を卓に並べるファミリーの前に座して
今日が何の日か
みんなで何をしているのか
わからないわけには
いかないようす
でしたが
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