さとの祭り/丘野 こ鳩
 
るしてくれる家ではありません
 むしろ老い始めた気力ある人々が
 我々のためになにを返してくれるのかと待っている
 場であるということを
 私は承知しております


肩車されたまだ幼い孫をはねとばして
隣のおじいさんをまともに引きころしたとき
まともな父は山車の進行役をしていた
伝統の馬鹿囃子を打ち鳴らし
自分が乗っている二本の丸太がおじいさんの背骨を飲み込むのを
父は見た

そんなこともあった
事情聴取され事故だったという話でまとまった
もう面倒な付き合いはしたくない
この歳になったら
畑の野菜に触ってるのが
みな静かに伸びるし
とてもすなおだから
すご
[次のページ]
戻る   Point(3)