さとの祭り/丘野 こ鳩
るしてくれる家ではありません
むしろ老い始めた気力ある人々が
我々のためになにを返してくれるのかと待っている
場であるということを
私は承知しております
肩車されたまだ幼い孫をはねとばして
隣のおじいさんをまともに引きころしたとき
まともな父は山車の進行役をしていた
伝統の馬鹿囃子を打ち鳴らし
自分が乗っている二本の丸太がおじいさんの背骨を飲み込むのを
父は見た
そんなこともあった
事情聴取され事故だったという話でまとまった
もう面倒な付き合いはしたくない
この歳になったら
畑の野菜に触ってるのが
みな静かに伸びるし
とてもすなおだから
すご
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