ひまわり/北街かな
むしを食べ 手指を舐め 詩思をうたう
飢えた怪物のような向日葵だ
仲間外れの罠にもかからぬふりで
グラウンドを睨んで揺れている
なまぬるい呼気を吐却して
腫れぼったいくちびるから
高らかに咲いて
生きて 死のうとしてみせる
整列と唱和の大好きな向日葵は
顔いっぱいの迷路歯でざりざりと俗欲に齧りつき
むさぼり、飲み下してから
うっすらと旨みを知り また咥え 砕き
血肉細胞にかえている
汗ばむ赤白帽をドクドクと滾らせ
すべすべのゼッケンを波々と泳がせ
その身を打ちたてようと揺れているのだ
五時間目の異郷彷徊に混濁したまま
悲鳴のような西日に焦がされ
教師のせ
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