今日が天気かどうかなんて本当はどうでもいいんだ/ホロウ・シカエルボク
 
本当はどんなふうに泳ぐ気だったんだい、本当はどんなふうに掻き分けていくつもりだったんだいって葬式の時に俺、尋ねたけれど、彼女の心はもう海水のように、溶けてどこかへ流れてしまっていた、不思議なくらい静かな顔をしていたなぁ…業火のような夕暮れが水平線を染める、数時間前のことだった
あの娘はきっとロマンティックを神様のように崇めていたんだ、十字架からまだ下りられない神様を見ているみたいに
海をまたぐ大きな橋から昨日、一人の男が飛び降りて砕けた、飛び降り防止用の、徹底的なフェンスを全て乗り越えて、きっとあいつは気がつかなかったのだ、まだ何かを乗り越えようとしている自分のことを、だけど、死んじまう男は好
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