エロティック接近/みぞるる
薄暗いクラゲのランプの中で
向かい合う僕ら
口の外に投げ出した落とし穴に
僕は嬉々として自ら落ちた
パフェエを食らう君のまつげが
パリンと跳ねて
雲のような肌に浮かぶ唇のふくらみが
わずかに歪んだ
「さようならをしたい」
蓄音機が奏でるジャズは
僕の
接近欲に勝らない
僕らは空白を供にした
僕のことばで満たされすぎた、
ただそれだけの空白を
テーブルに放置された彼女の左手は
血の流れていない白さで
僕はそれに性を感じる
「わかったわ」と言ったのは
君だった
薄暗い照明の下で
ぎらぎら揺れる瞳が
僕は
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