エロティック接近/みぞるる
 
薄暗いクラゲのランプの中で
向かい合う僕ら

口の外に投げ出した落とし穴に
僕は嬉々として自ら落ちた

パフェエを食らう君のまつげが
パリンと跳ねて
雲のような肌に浮かぶ唇のふくらみが
わずかに歪んだ



「さようならをしたい」



蓄音機が奏でるジャズは
僕の
接近欲に勝らない

僕らは空白を供にした
僕のことばで満たされすぎた、
ただそれだけの空白を


テーブルに放置された彼女の左手は
血の流れていない白さで
僕はそれに性を感じる


「わかったわ」と言ったのは
君だった

薄暗い照明の下で
ぎらぎら揺れる瞳が
僕は
[次のページ]
戻る   Point(1)