頬に旅/唐草フウ
 
旅するひとよ、空は
くるくる重低音を行き来して
雨の匂いさえも はなうたの
材料にしながら

「これからの僕を分けよう」
粒は汚れのない アリスの涙
少女は聞きわけよく
旅するひとに付いてあるく

ステンレスのベッドは
錆つかない、だからなくしてゆく
あたしはだらしなく仰向けになり
雨の中照らすあなたを
受け入れてゆく
背中は すべすべで
冷たい


ゆめというギターの音色だけを
それだけを抱えて
旅するひとと少女
ただ、あるく
時間をあるく





戻る   Point(6)