「ザザ:漣音ハ狭隘ノ咽ビ〜奏デル潮騒ヲ探シテ」/Leaf
 
  ザザ、ザザ   ザザ、ザザ

調律には音叉の骨伝導のように
     拾い上げた貝殻を耳に充てながら願つた暁雲の下
ほんの数分でいいと思つた
     僕達に見合つた波形で鬩ぐ潮騒の漣音を




斑に滞つた季節が駄々を捏ねたつけ
葦の叢生の隙間から
砂浜のあちこちに散在する僕達の足痕の軌跡
消去の法則を固持したまま
雨脚は次第に強まつた
繋がつている筈の碧空でさえ
群れなす雲峰の嘲る姿に触れ、
たちどころに音信を断つてしまう
でも滂沱たる情けは要らない
ただ消さないでいてほしい
多くを望まぬ波打ち際にて
膝を抱えてもいいよ、と囁く海鳴り
天地の境に
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