見上げたのは同じ空/こめ
ある赤ちゃんは公園で
暖かい風に吹かれながら
ベビーカーから見える青い空を見上げる
ある幼稚園児は
ジャングルジムのてっぺんから
人より少し高い所から
雲がゆっくりながれる空を見上げる
ある小学生は放課後のグラウンドで
友達とサッカーをしながら
茜色に染まる空を見上げる
ある少年は自分の直ぐ横を流れる
弾丸を聞きながら黒く重い銃を持ち
血に染まった空を見上げる
ある少女は小さな手で
優しい母親の手を精一杯握り締め
二人で落ちていく夕日を見上げる
ある父親はギュウギュウに詰まった電車から
疲れながら
[次のページ]
戻る 編 削 Point(15)