林檎 檸檬 マスカット/瑠王
 

楓  銀杏(いちょう)  ホクシン




眠ることへの恐れ

生を失った色々を美しいだなんて

なんて人間らしい皮肉だろう

手のひらで崩れてしまう宇宙



そして君は隅々まで知っている僕の街

だけど秘密の園がいつも大人の目を盗んでつくられるように

君の子らは雪の下でも人知れず香を焚いている



なんでだろう僕らはどんな駿馬で駆っても泣いてしまう

何処かに足を忘れてしまったから?

幼心の君へ、今も君に名前をつけることができない



音もなく過ぎた砂の一粒一粒を抱擁した房

酸いもあまいも

僕らがテーブルに忘れてきてしまったもの



林檎 檸檬 マスカット


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