蛍/
中原 那由多
光の跡を指で辿って
途切れては、また
切なる時間の中にいる
瞬きに願いを乗せることもなく
水面に寄り添うのは
想いが透き通るから
清水に耳を傾けるのは
貴方の声を求めてしまわぬように
この数多の瞬きが永遠ならば
私は逢いに行けたのだろうか
掌の光はすっと
夜とひとつになった
振り返れば貴方がいないかと
儚い導きに遠い幻想を抱く
奇跡の上であったなら
どうして一瞬を詠うことができないか
ただ、蛍のように……
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