メーカー/靜ト
 
、父が死に、祖父が死に、母が死んだ
やがて妻が先立ち、子どもは都会に出て行った
友人も一人、また一人と減って
丈夫な彼は一人きりになった

「例えば私が死んだとして、私の作ったものは存在したといえるのだろうか」

彼は憂う

彼は毎日このトタン屋根の下で
起きて、食事を2回とり、その間に畑を耕し、水をくみ、眠りにつく
その繰り返しだ

でも彼は作り続ける
生きている限りはずっと、刹那ほどの休みもなく
特に褒められもせず、批判されもせず
それでも作り続ける

一体何の意味があるのだろうか
おそらく意味などないのだろう

だから作らなくてはいけないのだ
意味のあるものを
一つ一つがどこにもないような尊いものを

彼が死んだ時、きっと誰も彼のことを知らない
けれどもそこで作り続けたものは
何物にも代えることができない

「これでよかったのだ」
そうやってほほえんで作り終えられる日を
すべての作り続ける人が望んでいる


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