yume / type_m/nonya
 


白い手

右手の人差し指を
すべて意識にして僕は
淡い光の屈折にも似た
白い手に触れようと試みた

もう少し

あと少し

握ったと思ったその瞬間に

僕は朝に転げ落ちていた

苦い汗で接着された
パジャマ
消化されないサボテンが
転げまわる胃袋
悲鳴をあげる前に叩きのめした
目覚し時計

そして
背中を這い上がって来る
悔恨の虫

あのまま手を放さなければ
僕は重力からやすやすと逃れて
ミントゼリーの停止した時間の底で
夢も見ずに横たわる不純物に
成り果てていたのかもしれない

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