「希望の丘」/プル式
その町はいつも晴れていた
暖かな日差し、爽やかな風
青い空に、柔らかな雲
町外れの湖には
それらの全てが溶けだし
大きな森を育んでいた
青年はその湖に足を浸しながら
いつも遠い、見知らぬ街を描いていた
青年は画家だった
いや、その絵は誰が見るでも無く
たとえ見たとしても
何故だと問うばかりで
その絵には誰も価値など付けなかった
だから青年は画家では無かったのかも知れない
それでも青年は静かに目を細めながら
森を見つめ、町を見つめて絵を描き続けた
何処とも知れぬ、木々の無くなった森や
まるで巨大な墓石の様な街を描いた
その所々には、光る様な、赤や黄色が有ったが
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