ペーパーナイフ/ふるる
 
さざんかの咲いている道を下っていました
私は光るペーパーナイフをたずさえて
ナイフはとてもよく切れるのです
手紙の封
白い手紙の封をサクリと

その手紙には何が書いてあったのか
今忘れるために少し
息を止めました

さざんかは白く
炎のように風に
ゆらめいて日々を
蘇らせる
あなたと、歩いた

わたしのにほんの足は
あなたのもとへと急ぎ
交互に動いているけれどまるで
落として狂ってしまった
時計の針のように同じ場所を
ぴくりぴくりぴくり、と

私は光るペーパーナイフをたずさえて
いましたが
時計の針かもしれません
もう
時間の進むのを見たくはな
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