水のない空/生きた旅人/石田 圭太
 

父の死んだかたわらで
妹をあやす姉


こどもを亡くした朝に
家族のためにあくせく働く母


ぼくたちの町


生活が
続くところまで続いていき


夜の暗い背中を
手探りでさまよって


僅かにでもひかりに触れれば
その形に固まりました


眠り。
夢は抱かれる、いびつな


想像する幸福な腹を
痩せこけた身体の中で
命だけ流れる人よ





水は青
火は赤
森は緑
命は


原色は
世界の願いだよと言った


敷き詰められた悲しい床に
尚も新しい痛みは訪れて
踏み締めて歩いていきました。
それは素足の行進だから
静かに傷みながら


生きたい
生きたい
どうしても生きたい


こんなにも生きたい





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