エッセイ2/靜ト
真夜中にテレビを付けたら
派手なメイクと派手な衣装で
あなたはしっかり唄っていたので
私は ひどく 心安らかになりました
相変わらず しゃがれた甲高い声で
「愛しあってるかい?」
今日はあなたよりずっと年老いた人達が
マリア像のもとで暮らしているのを見ました
納骨堂の見える丘で 彼らは 命の終わりを待っています
ステージではいつも奇抜で 熱熱しく激しいのに
ステージを降りると ボソボソと心地悪そうに喋るあなたが
とてもいとおしい人間に見えました
私を見て「大きくなったね」
と言ってくれたかどうか
あのときもっとよく
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