信じることを書ききっている八木重吉のオリジナリティ/イダヅカマコト
 
集の無題の詩

うたうときは
太い感情のなみに
えんえんともえながらはしりたい
よろこびのときは
桃のひとつの花が
ひとつのはなのみになりきってさくように
かなしみのときは
柿の色づいた葉が落ちていく
そのみちみちたしずけさを
わたしのしずけさとしてうたいたい


この短い詩も、「うたうとき」「よろこびのとき」「かなしみのとき」の三つの時間それぞれに。きちんと「うた」いかたを交えています。
そして、一番最後の行を「うたいたい」と言い切ることで詩としての強さを強めています。

八木重吉の死後、日本はたくさんの、そして無意識の彼のフォロワーを生み出してきました。
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