紫陽花のころ/草野大悟
 
こころが雨をほしがる紫陽花のころ
ぼくらは
ふたりで
紫陽花寺を訪ねる

鎌倉は
いつも変わらない佇まいで
うす水色のミストのなかに
ぼくらを包みこむ

こころが
かさかさに渇いて
ひゅーひゅー鳴くとき
ぼくらは
ふたりで
紫陽花寺を訪ねる

桃色に咲く花は
ぼくらのうす紫の想い出を
おとぎ話のように聞かせてくれる




  

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