「アゲハチョウ」/ベンジャミン
{引用=(美しく生まれたかったと 思ったこともありました)
ある日
アゲハチョウが庭に迷い込んできて
羽を持って生まれてきた生き物は
そんなふうに飛ぶのが
当然なのだというように
ゆらりと抱いた風をふくらませて
ほどけた花びらのように飛んでいました
あれはそう
たしか去年の今頃
あなたとよく似た
けれどあなたとは違う
あなたに出会ったことを覚えています
(美しく生まれ変わりたいと 願っていた頃のことです)
いつか見たあなたは
もう飛ぶこともできずに
その美しい羽だけを残して
もうあなたではなくな
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)