春の終わり/伊月りさ
 
い苦しみ
それは
断絶のはじまり
この目が追う一文字、一文字が
その脳神経を鋭く泳ぎ
あなたの頭をしめつける
閉ざされた部屋でゆっくりと
わたしの歩みを裁いていく

こうして日常に耽っているあいだに
撃ち抜かれているのはきみかもしれない
と、かけらでも去来したなら
終わらなかっただろう、
はじまらなかっただろう
それでも
その虚脱をやわらかく
抱きしめてあげたかった

かなしみの
たのしさの
三角座りのお尻の裏で
開いた向こうに落下した
あれは春の終わり
底で破砕されるまで
切りつけながら抱き合うと誓った
わたしたちのはじまり
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