犬/鈴木まみどり
 
ているようなものだ
男はしきりに
わたしの下半身に赤紫の花が咲いていると言うが
たぶんそう、
/そういうことだろう

           (光などなくても 



言葉は
本質的には嘘つきで
ただ
忠実であろうとする
、その心意気だけは買われている

価値と価値観とが双子であるとして
どちらが重く用いられるだろう
そして疲弊していくのか

言葉は価値観のことを
自分がいなければその存在さえ危ういと下に見ていた、が
あるとき
その価値観によって凌辱されたのだった


はふたつあり
ひとつは筒で
ひとつは袋小路だった
価値観は迷わず筒のほ
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