犬/鈴木まみどり
 
男の腰に食らいついていたとき
わたしは自分がひとさじの情けを持ち合わせているのだと思い知り ました

に成り下がるのではない
私が私であるだなんて
脳と性器とをひとすじの光で繋げるようなものだ
ただ名づけられた
というだけで



感性は
その後ろ盾の希薄な自身に時折寒さを覚える
そんなとき
論理が傍にいてくれて本当によかったと涙したりする
(、そこには人間なんて登場しない の、しかし、とても関わりは深く)

感性の涙は
やがて夕焼けの色
、などになる訳だが
どうして夕暮れどき
空がいっしゅん薄紅色に染まるのか
それでもうすべて納得がいくだろう

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