ひかり かすか/木立 悟
目に映る目
わたしの目
わたしを見ない目
片方の帰路
世界は座る
金と緑
光のなかの暗さに手を染め
窓の奥の星に触れ
重なり飛び去る 灰のはざま
崖に刺さる舟と見つめあう
午後はすぐ近くまで来ている
文字が削りとられた壁
燃えさしが
小鳥の巣分かれのように
ひとつひとつ消えてゆく
器がひとりふるえている
窓の外にも
器はある
かきむしる
指おり数える
ふかみどり 絶えぬ風
かがやいている
なにもかもおよばぬところで
かがやいている
海辺の骨のやりとり
通りすぎ ふりかえり
一瞬の黒い軌跡だけを見
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