「六月のスケッチ」/ベンジャミン
 
言葉にならないものたちを
白いスケッチブックに描いていた

ふくらんではじけそうな花のつぼみ
ゆるやかな風にふれる木の枝

言葉にならないものたちを
白いスケッチブックに描きたかった

ありのままの生命を感じさせる自然
不器用にペンを握る僕の頬をなぜる風

色あせることのない記憶よりも
もっと鮮明な今を描きたかった

けれどこの白いスケッチブックは
夕暮れに仄赤く染まるまで

ただ白く輝くばかり

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