愛したことを忘れましょう/新崎
愛したことを忘れましょう
女神様は言いました
私は従うことしかできません
だって女神様は絶対ですから
女神様と過ごした日々
とっても楽しかったけど
ちょっと悲しいこともあって
でも忘れたのでよく思い出せません
よく手をつないで歩いた気がします
そうして女神様は私に微笑みかけるのです
女神様の手は暖かった気がします
でも、今はもうなんだかぼやけて思い出せません
ふと街で見かけたのです
女神様だった人を
今はもう女神様ではなく
ただの人になっていました
なんだか、それがひどく悲しく思えて
私は泣きました
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