「紫陽花」/ベンジャミン
透明に含まれる
ほんのわずかをくみとって
花色をかえる
まだ色づく前の紫陽花は
どれも同じような顔をしていて
まるで顔色をうかがうように
あなたを見上げている
やがて色づく
その紫陽花を前にして
泣かないための言葉を呟く
あなたは
悲しく見える色が
悲しみを浮かべた色だと知っている
日々色を増し
日常を浮かび上がらせて紫陽花は
やがて散ってしまうとしても
まだ残された時間の中で
静かに呼吸をつづけ
そのときだけの色をみせてくれる
その花びらが
あなたの瞳に
ただ美しく映るなら
六月は
けして雨の日ばかりではない
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